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A medical practitioner and a patient examine a chart

多様性を確保した臨床試験

参加者の多様性を確保した臨床試験で確度の高い成果を得た事例

ライオンブリッジ ライフ サイエンス部門は、お客様の信頼パートナーとして、医薬開発ライフサイクルのあらゆる段階で生じる言語上のニーズを解決する各種ソリューションを提供いたします。当社は、グローバルな臨床試験に関連する翻訳や各種文書制作サービスを通じて、お客様の多言語臨床試験を成功に導くための支援をいたします。当社はライフ サイエンス分野の豊富な専門知識や業界屈指のテクノロジー、高度な技能を有する人材を投入するモジュラー型アプローチを採用し、コミュニケーション上のあらゆるニーズを支援します。


試験参加者が最後まで参加を継続することが臨床研究を成功へと導く重要な要因であると同時に、参加者の多様性を確保することも同じく重要になります。臨床試験にさまさまな人種、民族、性別/ジェンダー、年齢層の患者や希少患者に参加してもらうことで、この治験薬や対象の医療機器が承認された場合に、これらが幅広い層の患者群に対して安全、かつ効果的であることを示す臨床的証拠を提示する際にも役立ちます。

通常、臨床試験参加者の募集は、一連の条件を満たし、かつ臨床試験の参加同意書を提出した任意の参加希望者を募るという規定の方法論に沿って行われます。こうした基準に従うことで、副作用や併存疾患の相互作用、臨床試験からの早期離脱のリスクを最小限に抑えることができます。したがって、臨床試験への参加条件を設けることで、より正確な所見を得ることができます。その一方で、想定した多様性が反映されていない患者群が臨床試験に加わる場合もあります。

新型コロナウイルス (COVID-19) の臨床試験と多様性

多様な患者群に対して十分な試験を実施しなかったために、疑問の残る結果が出ることも珍しくありません。アストラゼネカの新型コロナウイルス ワクチン候補 (AZD1222) 臨床試験がそうでした。前臨床試験ではワクチンの全体での有効率を 70% と評価しました。臨床試験参加者の中で 90% と高率を達成したサブグループがありましたが、全量接種に続いて半量を接種するという不手際がありました。このサブグループには 55 歳以上の参加者は含まれていませんでした。つまり新型コロナウイルスへの抵抗力が低い高齢の参加者を対象に半量接種/全量接種の投薬計画は実施されなかったため、研究者の間でデータの有効性に対して懸念が生じました。アストラゼネカはその後、ワクチン候補の接種量を抑えた場合の有効性を調査するグローバル試験を追加で実施することも検討中であると述べています

モデルナは新型コロナウイルス ワクチン候補 (mRNA-1273) の中間結果を発表した際、臨床試験患者群の多様性を確保したことにも言及しました。臨床試験参加者総勢 30,000 名には 65 歳以上の患者、新型コロナウイルスの重症化リスクが高い慢性疾患を罹患している 65 歳未満の患者、従来の臨床試験ではマイノリティであり、新型コロナウイルスの影響を受けやすい層が含まれています。

A medical practitioner administers a shot

多様性確保が重要な理由

臨床試験参加者の母集団が均一 (単一の人種や民族で構成されるなど) の場合、研究所見に偏りが見られ、治験薬や医療機器の効能や性能を検討する際に想定していた広範な患者母集団には汎化できない臨床データとなる可能性があります。こうした臨床データは当該治験薬や医療機器にとって有益ではなく、一部の患者サブグループには適さない場合もあります。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、医療上の危機が全世界に及ぶ時期であっても、さまざまなバックグラウンドの参加者を募集することが重要な検討事項であることに変わりはなく、特に一部の集団に突出して見られる疾病や症状を調査する臨床試験では、より慎重に検討すべき要素です。重症度や死亡率は新型コロナウイルスでも年齢、性別、民族集団によって異なり、高齢者層や男性層、また個人では黒人、アジア人、少数民族集団の入院率、救急搬送率、死亡率が高くなるとの研究データが示されています

臨床試験で多様性を確保することで、規制当局の判断や製品ラベルの作成に際して確実な論拠が得られるようになります。患者のサブグループに適切な情報が製品ラベルに表示されると、医療従事者や患者が薬剤の服用や医療機器を利用する際に有益な情報を入手できます。この手順を踏むことで、患者、介護者、医療従事者に対する情報量が増え、内容をより理解した上で治療手段を選択できます。

患者と一般大衆の視点

一般大衆、特に少数派の人種や民族集団の間で、臨床試験は信頼できないものという認識が以前からありました。主に過去の臨床試験で当該集団の弱みにつけこむような行為や医療上での差別が認められたこと、臨床試験に関する認識不足がこうした傾向の理由として挙げられています。過去数十年で規制面、倫理面の監視を通じて臨床試験を管理する体制が整い、臨床試験の透明性が高まったおかげでネガティブな印象は減ったものの、完全に拭い去られたわけではありません。

臨床研究参加に関する情報研究センター (CISCRP) が先ごろ実施した認識や見識に関する調査では、ここ数年の改革がある程度反映されています。本年 4 月、同センターは英国、フランス、ドイツ、イタリアの回答者 500 名を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大が与えた影響を臨床試験に関する一般大衆の理解度、認識度、経験値を基に評価する調査を実施しました。調査結果によると、回答者の過半数 (58%) が新型コロナウイルスに特化した臨床試験研究を知らないと答え、また全般的に、製薬会社に対する信頼度は他の研究関係者と比べて下回るという結果も出ています。

製薬会社が信頼を得られないのは、臨床試験でマイノリティ集団からの参加者が少ないことが大きな要因と考えられますが、他にも明らかな障壁があります。試験施設への交通手段がない、仕事を休んで臨床試験に参加することで金銭的に困窮するおそれがある、健康保険の障壁、介護者の責務、そして言語上の障壁などです。こうした障壁はどれも、患者が臨床試験への参加を思いとどまる要因となりかねません。

Depiction of a virus

業界慣行の改善

臨床試験関連業界内には、多様性を確保することは容易ではないという共通の認識があります。それでも改善に向けた適切なアプローチや行動を通じて、前向きな一歩を踏み出そうとしています。

連邦食品医薬品局 (FDA) は 11 月に臨床試験母集団の多様性を高めるガイダンスの最終版を発行しました。このガイダンスは臨床試験依頼者を対象に、新薬申請やバイオ医薬品のライセンス申請を支える臨床試験にマイノリティ集団の参加者を増加させる上で役立つ提言が記されています。特に希少疾患の臨床試験で、参加者の年齢層を広げる戦略が注目されています。

同様に、FDA の医療機器臨床試験で年齢、人種、民族固有のデータの評価や報告書作成に関するガイダンスでは、当該試験のサブグループを代表する年齢、人種、民族の構成比が医療機器の想定ユーザーのそれと一致していること、また多様性に関する戦略策定の提言を盛り込んだ参加戦略書を作成することを求めています。

これまで十分なサービスを受けてこなかった集団に臨床試験への参加機会を増やすロードマップは、英国国立健康研究所臨床研究ネットワーク (NIHR CRN) からの委託でこのたび作成されたもので、研究者と過小評価された (十分なサービスを受けてこなかった) 集団との連携を支援し、このような集団が臨床試験に参加しやすくなる方法論的枠組の策定を目指しています。

臨床試験参加者の多様性を高めるという重大な課題に対応するため、臨床試験業界でコンソーシアムが昨年新たに発足しました。CISCRP と大手製薬会社および臨床試験サービス プロバイダー (メルク、IQVIA、バイオジェン、大塚製薬、CSL ベーリング、ヤンセンファーマ、WCG、ボストン・サイエンティフィック、EMD セローノ、ファイザー) とのパートナーシップで発足した同コンソーシアムは、地域ベースの教育活動を支援し、マイノリティ集団の臨床試験プロセスに関する一般的な知識の向上を図る活動に注力しています。

臨床試験でマイノリティの意見を取り入れる架け橋として

さまざまな規制ガイダンスや学術論文では、患者の多様性と一体性に関する戦略を規定し、運用可能にするために役立つ豊富な情報が臨床試験依頼者向けに提示されています。臨床検査の現場で得た事例や体験談は、多様性を確保した患者グループを臨床試験に参加させる必要性と、費用対効果を意識して所定の期間内に臨床試験を完了させることとの適切なバランスを見極めるための知見を提示する貴重な情報です。

新しい臨床試験デザインに適応すること、多様な人口統計学的特性に基づく臨床アウトカム データの収集や分析に用いる先進技術、患者が自宅にいながらにして臨床試験に参加できる Web ベースの新しいプラットフォームは、患者を中心に捉え、多様性を受け入れた臨床試験を普及させるアプローチの一例に過ぎません。

とはいえ、方法論的考察や技術上の詳細情報以外にも注目すべき要素があります。臨床試験は多くのボランティア参加者、すなわち人々によって支えられています。人はさまざまなことを学び、他者と交わり、コミュニケーションを図り、率直な意見を交換して強い絆を作ります。臨床試験もその例外ではありません。対象となる集団と連携して患者と向き合い、手を差しのべること。臨床試験参加を阻害するあらゆる障壁を取り除き、参加者に感謝すること。文化の差異を配慮した包括的な医薬品開発研修。そして、参加者のメリットになる形で研究所見を伝えること。臨床試験を通じて信頼を構築し、多様性を育む上で、こうした要素は今もなお欠かすことのできない前提条件です。

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Nataliya Volohov
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