トランスクリエーションの品質 – 何によって決まるのか?

企業はトランスクリエーションの品質をどのように測定すればよいのでしょうか?

最終更新日: 1月 15, 2020 3:00AM

ライオンブリッジのグローバル コンテンツ スペシャリスト、ルイーズ ピアースによるこの投稿は当初、Women in Localization ブログに掲載されました。今回、許可を得て再掲載しています。

トランスクリエーションという概念が登場して約 20 年になりますが、その定義についてはいまだ明確にはされていません。当然ながらこのような状況下ではその品質の定義も明確ではなく、これによって混乱が生じる場合もあります。

翻訳の品質の測定は進化し、試行錯誤を重ねて生まれた指標により言語面での正確性と流暢さを評価できるようになりました。そして、その測定手法がそのままトランスクリエーションにも適用されるケースが増えてきました。

しかしながら、トランスクリエーションの中心にあるのは創造性であるため、標準的な品質測定指標では、そのメッセージがネイティブ スピーカーに適切に伝わるかどうかをうまく測定できないことが多くあります。そこで観点を変えて、2 つのコンポーネントの測定を組み合わせてみます。つまり、言語面での品質を 50%、コンテンツ制作面での品質を 50% と考えるのです。

トランスクリエーションの目的の把握

トランスクリエーションとは、ある言語の感情面に及ぼす影響を別の言語で作り直し、コンテンツの目的を達成するプロセスです。トランスクリエーションでは、他言語の同等の言葉を探して適用するのではなく、概念の転送を行います。つまり、新しい市場ごとに独自に制作されたコンテンツとして扱う必要があります。

初めてコンテンツを制作する場合と同様に、それが誕生するまでのプロセスがあります。ソート リーダーシップに関するものであろうと、新製品のプロモーションのためのマーケティング キャンペーンであろうと、コンテンツ制作には目的があります。同様に、トランスクリエーションにも、ブランド認知度の向上や新規見込み客の開拓など、ローカル市場での目的があります。トランスクリエーション コンテンツの目的を定義できたら、次のステップは最適な人材を獲得することです。

適切なトランスクリエーション専門家の獲得

トランスクリエーションでは翻訳よりもずっと多くのエンゲージメントが必要となります。ソース コピーの作成、市場リサーチ、最終的な対象顧客についての理解、メッセージの目的、コンテンツのコミュニケーションの目標などに関して、どれほど多くのコラボレーションが必要になるでしょうか。

トランスクリエーターは必ずしも真っ白なキャンバスから始めるわけではありませんが、対象の市場、オーディエンス、コンテンツの目指すものなど、少なくともコンテンツの制作者なら知っているすべてのことを理解しなければなりません。それらの情報を取り込み、現地の文化、言語、公開メディア、コンテンツの目的に関する知識を応用して、意図したメッセージを確実に伝達します。

トランスクリエーターには、言語的な面である翻訳と創造性を必要とするコピーライティングという 2 つの異なる能力が求められます。いずれも多様なスキルを必要としますが、特に重要なのは以下の 3 つと言えます。

1.クリエイティブ ライティングのスキル

多くの場合、コンテンツは特定の条件を念頭に置いて作成されます。たとえば、検索エンジン最適化 ( SEO ) によるオンライン プレゼンスの改善、広告による売上拡大、ソーシャル メディアでのブランド コミュニティの構築などです。優れたコピーライターが優れたトランスクリエーターになることは珍しくありません。彼らはローカル コピーを意図的に作り変える方法を知っており、レイアウトやメディアの制限に従いながら、読者を第一に考えることができます。

2.文化面の理解

テキストには、対象となる現地のオーディエンスに理解してもらいたいという意図が込められています。トランスクリエーターは両方の言語において言語面での経験と文化面での経験を積んでいるため、ソース言語のニュアンスを特定してターゲット言語に「転送する」(置き換える) ことができます。対象コンテンツの内容が厳格な財務レポートでも、華やかなデジタル マーケティング キャンペーンでも同じです。

3.調査のスキル

翻訳者とコピーライターの両方に共通する調査のスキルは、決して過小評価してはいけません。対象のオーディエンス、市場、競合に関する知識、そして何を達成する必要があるかをよく理解することは、トランスクリエーションを成功に導くための最大の要因と言えます。

トランスクリエーションの品質の測定

トランスクリエーターはソース言語からの解離については柔軟に対応できますが、その方向性を示す明確なガイダンスがなければ、作業は滞ってしまいます。

コンテンツを一から制作する場合と同様に、そもそもコンテンツが制作される理由、トランスクリエーションが必要な理由、その対象読者、そして読者に与えるべき影響について検討することをおすすめします。

トランスクリエーションの概要に、それらの詳細、ブランドの価値、そして製品やブランドが現地でどのように認識されるべきかを加えることで、ローカル市場でのコミュニケーションの目標を達成するために何をすべきか、トランスクリエーターが理解しやすくなります。例えば、ある市場ですでに確立されている製品のマーケティング資料については、別の市場では異なるアプローチが必要かもしれません。こうしたガイダンスがなければ、トランスクリエーターは既存の資料、つまりソースを使って作業を進めるしかなくなります。ソースしか参考にできない場合、最終的に出来上がるものは翻訳とほぼ同じものになります。そうでなくても、現地の読者の間に期待した反応を引き起こすことはないでしょう。結局、誰にも利がありません。

「トランスクリエーションの要約」は品質に関するガイドライン定義の鍵となります。さらに、これらのガイドラインを満たすには、オープンなコラボレーションが欠かせません。翻訳の発注側にとって、ソースの提出、いくつかの質問への回答、完成した翻訳の受領、そしてプロジェクトの終了、というプロセスが一般的であり、それ以上のコラボレーションは不要でしょう。しかし、トランスクリエーションは翻訳とクリエイティビティのハイブリッドであり、テキストを公開する前にお客様とのコラボレーションを通じたフィードバックが必要になることも珍しくありません。

ほとんどの場合は、読みやすさを測定するツールを使って、公開前にトランスクリエーションされたコピーの品質チェックを行うことができます。この作業は、Microsoft Office のプルーフィング ツールを使用して、読みやすさや受動態の使用状況をチェックする作業と同じくらい簡単です。トランスクリエーションされたコピーがオンライン用である場合は、コンテンツをレビューして、ローカル SEO のための Google のベスト プラクティスに従っていることを確認するとよいでしょう。

しかし、公開後の測定にはコラボレーションが必要であり、その内容は見込み客の育成、カスタマー エンゲージメントの促進、ブランド認知度、コンバージョンや売上の強化など、コンテンツのマーケティングにおける目的によって異なります。理想的なのは、トランスクリエーションに対して公開前チェックを実施し、公開後にも、各市場でのコンテンツの目的に基づいた指標に照らして検証・調整することです。

トランスクリエーションの全体的な成功の決め手となるのは、ターゲットとする言語と文化に向けたコミュニケーション戦略、そしてコンテンツが達成すべき目標です。いったん定義されれば、トランスクリエーターがローカル コピーを作成するための強固な基盤となります。トランスクリエーターは自らが達成すべき目標を把握し、言語スキル、文化面での理解、調査力を活かしてその目標を実現するのです。

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