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最先端免疫学事情: 新型コロナウイルス ワクチンの供給と受け入れ

第 2 回: 新型コロナウイルス ワクチンの世界的供給を実現させるには

新型コロナウイルス関連の最新シリーズでは、当社の専門家が感染拡大期からその後にかけての臨床開発や規制承認の構造的な変化についての見解を述べます。

事業規模、多言語に対応する高度なサービス、コミュニケーションや技術面をサポートするソリューションを提供するライオンブリッジは、スピードが求められる新型コロナウイルス ワクチンや救命治療の実用化を支援する信頼のパートナーです。


緊急使用許可とは

緊急使用許可 (EUA) とは、危機的状況下で未承認医薬品の使用を認める米国の制度です。実施可能な施策が他にない場合、連邦食品医薬品局 (FDA) が例外措置として許可するものです。過去には、ジカ熱やエボラ出血熱の流行による医療緊急事態時に緊急使用許可が認められた例があります。2 月に FDA によって新型コロナウイルスのパンデミックについて緊急事態宣言が出された後、診断検査から治療に至るまで実に多くの緊急使用許可が認められました。そして、ついにワクチンが評価段階に達しました。

12 月 10 日には、ファイザーと BioNTech の共同開発によるワクチンの認可を検討する諮問委員会が開かれました。

米国以外の地域における新型コロナウイルスの認可状況

EU のワクチン認可は欧州医薬品庁 (EMA) が管轄しており、将来性のある薬剤の緊急使用許可や条件付き販売許可を付与することができます。この種の許可では、申請者は医薬品の供給中も試験を継続することが義務付けられています。

英国では、医薬品・医療製品規制庁 (MHRA) がアストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発したワクチンの検討を依頼されました。英国ではファイザーと BioNTech の共同開発によるワクチンがすでに承認されています。

製造元のワクチン承認から供給に向けての対応

特に EU の場合、ワクチン供給には多言語でのアプローチが求められます。文書作成における規制要件として、ワクチンの製造元が作成した文書を医療従事者や患者の母語に正確に翻訳することが定められています。こうした許認可業務のプロセスを迅速に進めるには、経験豊富な言語サービス プロバイダー (LSP) との連携が肝要です。

同意書や取扱説明書などの文書はワクチンに関わる全員が入手しやすく、読みやすいものでなくてはなりません。特に感染拡大が猛烈に加速する中で予防策や治療策を打ち出さなければならない状況では、医薬品の開発・製造元は言語面での作業を任せることのできるパートナーを見つけることが重要です。ライフ サイエンス分野で 20 年以上にわたる実績を重ね、優れた言語成果物の制作で定評がある当社ライオンブリッジでは、新型コロナウイルスの感染拡大緩和に取り組むあらゆる組織のお客様に、包括的で理解しやすい翻訳やトランスクリエーションを実現する各種専門サービスをご提供いたします。

今後のワクチン接種履歴の追跡に対する官民の取り組み

ごく初期段階に承認を得た (供給済みも含む) 一部のワクチン候補には、完全免疫獲得のために 2 度接種しなければならないものがあります。すなわち政府機関か医療機関、または患者本人が所定の期間内にワクチンを 2 度接種する対策を講じなければなりません。

その対策として、財布に入るサイズのワクチン周知カードの作成や、全国規模でデータベースを構築する施策が各国で提案されています。米国では英語版とスペイン語版のワクチン周知カードの制作が予定されています。EU の場合、現在、ワクチン接種履歴を追跡するシステムは明確に定められていませんが、医療文書については、EU 規則の多くが各国の母語と EU 公式言語との併記を求めているため、ワクチン接種追跡システムも多言語化されることが予想されます。

ワクチン供給が遅延する理由

多くのワクチン開発に利用されている最先端技術が原因で、将来を期待されている一部のワクチンについて、輸送手段や市場での認知が他のワクチンよりも困難になるケースがあります。

英国、欧州、米国で使われている mRNA ワクチンは極低温環境での輸送が必須であり、標準型冷凍冷蔵庫の温度環境で短時間に輸送しなければ効力を失います。

また、毎年接種しているインフルエンザ ワクチンのような従来型不活性ワクチンとは勝手が違うため、新型コロナウイルス ワクチン接種を予定している人々も不安に感じるかもしれません。開発・製造元や規制当局は、リスクが対処可能と容認できるレベルまで低くならなければワクチンは認可しないと主張しますが、スケジュールの迅速化についても懸念が生じています。

実際に、政治家や有識者の間では、研究者グループと有色人種集団との過去のコミュニケーションにおいて、特に新薬や試験薬に拒否反応を示す層が取り残されていた経緯が指摘されてきました。世論調査会社が 11 月に実施した調査によると、米国人のおよそ 5 人に 2 人が、新型コロナウイルス ワクチンが供給されても接種しないと答えています。


ワクチン接種の普及に言語が果たす役割

ワクチンの供給側は、新しいワクチンのリスクとメリットを接種候補者に理解してもらうという課題に直面しています。普遍的な事実として、コミュニケーションは公衆衛生活動の中核を担うものです。科学・医学の専門家や政府は、適切な表現を使用した各言語への翻訳を通じて、ワクチンに関する情報や選択肢を人々に周知させる義務を負っています。

EU の場合、規制当局は EU の主要全言語のほか、当該の医療機器や治療が提供される地域の言語で医療情報を作成するよう義務付けています。

臨床試験では何度となく修正が入り、作業が同時に進行することから、小規模な言語サービス プロバイダーや翻訳会社ではこうした需要に対応しきれないことが予想されます。言語検証、臨床標識、臨床転帰アセスメント (COA) から電子臨床転帰アセスメント (eCOA) へのデータ移管といった高度な各種サービスには、予告なしの変更にも対応可能な柔軟性を備えた自動化ワークフローが不可欠になります。

言語サービスは、臨床試験の実施と規制当局からの認可取得において非常に重要な役割を担っています。このような高度な言語サービスや最先端のワークフロー技術については、ぜひ当社ライオンブリッジにお任せください。ライフ サイエンス分野で 20 年以上の実績を持ち、深い専門知識を有する多数の専門家をつなぐグローバル ネットワークを持つ当社が、ワクチンに関する極めて専門性の高い生物学的記述から、感染リスクのあるオーディエンスにワクチン接種の重要性を伝える啓蒙キャンペーンに至るまで、開発や供給パイプラインのあらゆる段階でお客様を支援いたします。

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April M. Crehan
著者
April M. Crehan