EU の MDR における最新ガイドラインでは言語をさらに重視

SSCP の要件を満たすには何を (いつ) 翻訳する必要があるのか

最終更新日: 3月 13, 2020 3:03午後

SSCP とは

安全性と臨床性能の要約 (Summary of Safety and Clinical Performance: SSCP) は、技術的な適合性評価の際に適合性評価機関 (Notified Body: NB) によって検証され、欧州医療機器データベース (European Database on Medical Devices: Eudamed) 上で公開される、規制に基づく文書です。SSCP は、EU の医療機器規制 (Medical Device Regulation 2017/745: MDR) の Article 32 の要件となっており、医療機器向けの重要な法律情報を含んでいます。これにより、患者と医療専門家の両方が、医療機器の臨床性能と安全性に関する最新の要約にアクセスできるようになります。

9 月 26 日にこの要約に関するガイダンスが医療機器調整グループ (Medical Device Coordination Group: MDCG) によって発表されました。MDR が施行される 2020 年 5 月より、リスクのレベルが中から高の特定の機器 (Class IIa / IIb の埋込型機器や Class III の機器など) では SSCP が義務化されます。

言語と翻訳の重要性

SSCP は、欧州の医療コミュニティで透明化に向けた活動が進められている中で、これまでの規制に加えて施行される新しい規制要件です。研究結果の一般公開は新しい概念ではありませんが、新しい MDR と新しい臨床試験に関する規制 (Clinical Trial Regulation: CTR) により、欧州では臨床試験と医療機器の研究結果および性能結果に一般の人々がアクセスできるようにすることが法的に義務付けられます。SSCP では CTR に近い要件が設けられており、平易な言葉で書かれた非専門家向けの臨床試験結果要約を臨床試験完了後に用意する必要があります。

EU のいずれの新規制においても、各地域の言語で専門的でない平易な言葉を使用して結果を患者に伝えるには、言語と読みやすさが非常に重要となります。言語の重要性については、SSCP の翻訳をメーカーの品質管理システムの一部とする必要があると MDCG のガイダンスで明示されています。

新規制に言語面で準拠するには

機器のライフサイクル全体を通じて SSCP を更新することが、高リスク機器の医療機器メーカーの義務となります。適合性評価機関は、技術的な適合性評価の一環として、また、CE 認証の更新時に SSCP を検証する必要があります。最初の SSCP が、合意された 1 つの言語で適合性評価機関によって検証された後、メーカーは、その機器の販売地域に応じて、関連するすべての EU 言語にマスター SSCP を翻訳する必要があります。

SSCP の翻訳について詳しく知りたい方は、こちらからお問い合わせください。

ここで注意事項があります。機器の販売を予定している EU 加盟国によっては、英語以外の EU 言語のマスター SSCP が認められる場合があります。その場合、マスターが NB によって Eudamed にアップロードされてから 90 日以内に、英語版の SSCP も提出する必要があります。英語版は、提出後さらに 15 日以内に NB によってアップロードされます。

その他の関連言語のアップロードが必要かどうかは、EU 加盟国ごとの発売計画によって決まります。原則的に、加盟国での販売を開始する前に、関連する各地域の言語に翻訳した要約を Eudamed で参照できるようにする必要があります。マスターと英語版以外の翻訳版は、NB による検証を受ける必要はありません。ただし、NB はメーカーから受け取った後 15 日以内に要約をアップロードする必要があります。

対象読者が言語に与える影響

翻訳は、取扱説明書 (Instructions for Use: IFU) の言語要件に沿って行われますが、EU 加盟国間で言語要件が異なる場合があります。患者が直接使用する機器の SSCP を作成する場合に特に言語面で課題となるのは、要約が医療専門家向けの部分と患者向けの部分に分けられることです。メーカーは、同じ要約の中で 2 つの異なる対象読者層を考慮する必要があります。これら 2 つの読者層の間には、医学的コンテンツを理解して扱うためのヘルス リテラシー スキルに大きな違いがあります。

場合によっては 3 つ以上の読者層を対象として考慮する必要があります。子供向けの機器の場合、親、子供、または青少年を要約の対象読者とするのかどうかを考慮する必要があります。さらに、高齢または認知症の患者向けの機器の場合、読者が要約をどの程度理解できるかに、そうした患者の条件が影響します。

SSCP の言語面の課題については、MDR シリーズの次のブログ記事で詳しく取り上げます。

医療技術メーカーによる追加規制への対応

EU の新しい要件と報告義務に万全に備えるには、翻訳の一元管理と、必要なタイムラインに応じた調整が可能な言語ワークフローの確立を検討する必要があります。SSCP 要件を MDR 遂行のためのギャップ評価の一部とする必要があり、この要件を満たすには継続的な文書ナビゲーションが必要になります。

SSCP の改訂履歴、変更管理、検証ステータスに関する規制要件を複雑にしているのは、EU 市場の多言語性です。SSCP は、機器の耐用期間を通じて定期的に更新する必要があり、NB による検証を受けたのがどの言語版であるかについての情報を含める必要があります。製品ポートフォリオの幅が広いメーカーの場合、文書や各言語版の管理が複雑になることは免れません。

さらに、SSCP は、IFU、定期的安全性最新報告 (Periodic Safety Update Report: PSUR)、市販後臨床フォローアップ (Post-Market Clinical Follow-up: PMCF) 報告などのほかの基本的な文書と相互にリンクされています。技術文書の更新時には、SSCP を見直し、すべての言語で新しい関連情報を反映して改訂した後、Eudamed へのアップロード用に再提出する必要があります。PSUR と PMCF は毎年または 2 年に 1 回の更新が必要です。

言うまでもなく、主要な文書間に相互依存性があるため、すべてのバージョンと言語にわたってコンテンツの一貫性を維持し、ファイルを管理するには、より多くのリソースと予算が必要になります。これは、多くのメーカーが言語サービス プロバイダーを頼りにすることができ、また頼りにすべき領域です。そうしたプロバイダーはメーカーに対して、文書更新サイクル管理のサポートや、複数言語の読者を対象とするコンテンツの作成に関連する支援を提供できます。

次のステップ

SSCP のガイドラインを理解すれば、翻訳そのものに取り組む準備が整います。このブログで SSCP の翻訳に関する私の詳細なレビューをご覧になるか、ライオンブリッジに直接お問い合わせください

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ピア ウィンデロブ
著者
ピア ウィンデロブ