翻訳テストのガイドライン: 翻訳品質を評価する方法

最終更新日: 1月 31, 2020 6:25午前

サンプル翻訳テストが常に最善の評価方法とは言えない理由

翻訳業界には、顧客に最高品質の翻訳を提供するために、言語サービス プロバイダー (LSP) が採用するさまざまなベスト プラクティスが存在しますが、翻訳テストにおいては、実際のプロジェクトとは異なり、言語ベンダー側でこれらのベスト プラクティスに忠実に従うことができない場面が多々発生します。翻訳の発注側として、このことを十分に理解し、最善と思われる別の評価方法を検討しましょう。時間を節約してリスクを最小限に抑えることができ、最終的により適切なプロセスを通じて翻訳会社を選定することができます。

サンプル翻訳ではすべてのルールが破られる

そもそもなぜ翻訳のプロである LSP にサンプル翻訳テストを依頼するのか、その理由を明確にしておく必要があります。

  • LSP の迅速な対応力を試すため?
  • LSP のコミュニケーション能力を試すため?
  • LSP の業務の流れを確認するため? それとも最終成果物の品質を評価するため?

翻訳テストではいずれも効果的に評価することはできません。翻訳業務に欠かせない重要な手順や資料の作成が割愛されるからです。具体的には次のようなものが挙げられます。

用語管理

ターゲット言語の専門用語を定義する用語集は、質の高い翻訳の非常に重要な要素であり、特にゲーム、医療、法務といった非常に複雑な分野では必須です。LSP のベスト プラクティスとしては最新の用語集を取得するのが理想ですが、用語集がない場合は新たに作成して顧客に評価してもらい、承認を受けてから実際の翻訳を開始することになります。一般的にサンプル翻訳テストでは、用語集が提供されることはありませんし、作成する時間もありません。

スタイル ガイド

翻訳スタイル ガイドには、語調、用語の使用、句読点、文章構造、日付/時間/数字の形式などが定義されています。顧客側に英語のスタイル ガイドしかない場合でも、LSP はこの英語スタイル ガイドをもとに、他言語版のスタイル ガイドの作成をサポートすることができます。テスト翻訳のプロジェクトでは、スタイル ガイドが提供されることはまずないため、品質の低下につながります。

トレーニング

特にソフトウェア、ハードウェア、医療機器といった分野の翻訳が求められる場合、翻訳者にとって製品トレーニングが非常に重要になります。LSP から最高品質の翻訳を得ている多くの企業が、LSP のリソースへのトレーニングに「投資」しています。サンプル翻訳テストでは、関連するトレーニングはめったに行われません。

質問

通常の翻訳プロセスでは、翻訳者は原文について質問することで内容を正確に理解し、不明点を解消していきます。顧客は用語、意味、意図などを明確にし、翻訳者はそれに応じて翻訳文の修正や組み立てを行います。疑問点を解明するためのこういった回答を受ける機会がどの翻訳者にも与えられます。サンプル翻訳テストのプロセスでは、質疑応答の機会はめったになく、翻訳者は自身の推測に頼りながら作業しなければなりません。

SME/リソース

最高品質の翻訳を提供するため、LSP は医療、財務、IT といった特定の分野において、その領域の専門家 (SME: Subject Matter Expert) であるリソースの確保に努めています。こういった専門性の高いリソースの需要は高いため、LSP は十分に余裕をもってスケジュールを押さえ、常に最適なリソースと顧客とをつなげるようにしています。多くの翻訳プロバイダーが、専門知識別にまとめられた大規模な翻訳者データベースを保有しています。サンプル翻訳テストにおいては、最良のリソースが「オンデマンド」で提供されることを想定しています。一般的にこれらのリソースは、他の有償のプロジェクトから外され、ベスト プラクティスのすべてのルールに違反しながら、短納期のサンプル テストに対応します。皮肉なことに、テスト翻訳の大半は専門コンテンツを扱う顧客から依頼されるため、このようなテスト環境で翻訳するには最も難易度が高いと言えます。

スピード翻訳

翻訳テストを 2、3 日で納品するよう求められるのはよくあることです。しかしこれでは、最適な手順を実行することができません。通常、キックオフをはじめとする情報交換や、前述の翻訳者と顧客との間の質疑応答も省かれます。十分なリードタイムが与えられておらず、翻訳者がすぐに納品しなければならない状況では、最適なリソースを確保するのは不可能に近いことです。確立されたプログラムの下では、顧客のコンテンツに精通したリソースをベンダーがすでに割り当てているため、迅速な対応が可能になります。

それでは、どのようなソリューションが最適であり、どうすれば顧客は言語ベンダーの品質を評価できるのでしょうか? 具体的な方法として、次をお勧めします。

サンプル翻訳テストなしで翻訳の品質を評価するための 5 段階アプローチ

1. 同じ業界や業種、規模など、共通性のある顧客の事例や成果物のサンプルを求める。

御社の製品・サービスの分野で LSP のベスト プラクティスに従って翻訳された資料を精査することで、お客様は LSP の業務の品質をより現実的にレビューし、評価することができます。

2. プロセスとプロジェクト管理について詳細を確認する。

LSP はプロジェクトの計画や実施、品質管理手順に関するプロセスを文書化していますか? 独自のプロセスに一貫して従っていますか? LSP の PM はどのように品質を管理していますか?

3. 御社の成功基準を明確にする。

プロジェクトの成功に必要と思われるリソースを、LSP に確実に理解してもらいましょう。また、リソース準備に関する情報を求め、LSP が適切なリソースを確保できることを確認します。

4. 小規模な有償パイロット プロジェクトを実施する。

実際のプロジェクトで LSP を評価する必要があると考えるのであれば、小規模なプロジェクトで試してみましょう。言語プロバイダーを 2 社に絞ってパイロット プロジェクトを依頼すれば、成果物の評価にかかる時間とコストを抑えることができます。また、依頼した LSP の成果物はそのまま使用できるため、これを再翻訳する必要はありません。

5. 翻訳の品質をアピールしてもらう。

質の高い LSP であれば、翻訳の品質を最高水準に保つことがいかに重要であり、それにより効果的でプロフェッショナルな Web サイトの翻訳が可能になることを説明できるはずです。

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