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ローカリゼーション、グローバリゼーション、インターナショナリゼーションはどれも似たような概念であるため、多くの人々はそれぞれの違いに気付かずに使用しているようですが、実際にはそれぞれが他とは異なる要素を持ち合わせています。企業の「グローバル展開」担当者は、ブランド メッセージを世界中に届けるために、その違いを理解しておく必要があります。
企業が国境を越えて事業展開するときに必要となる活動を指す用語として、グローバリゼーション (Globalization)、インターナショナリゼーション (Internationalization)、ローカリゼーション (Localization)、翻訳 (Translation) を表す「GILT」という頭字語が作られました。この中で、テキストを別の言語に変換するプロセスを指す「翻訳」は最も馴染みがあり、簡単に理解できるものでしょう。しかし、他の 3 つの違いは何でしょうか?
この記事では、グローバリゼーション、インターナショナリゼーション、ローカリゼーションの類似点と相違点、さらに、それぞれの問題点を特定する方法についてご説明します。
グローバリゼーションとは、さまざまな国の人々、文化、経済を互いに近づける活動を指しています。ビジネスの世界で「グローバリゼーション」とは、組織が世界中の顧客としっかりつながる手法を指しています。これには、製品のデザインからマーケティングまで、さまざまな国の市場で行う事業のあらゆる側面が含まれます。
わかりやすくするために、ビジネスの世界におけるグローバリゼーションの例をいくつかご紹介します。
グローバリゼーションは、企業と消費者のどちらにとっても多くのメリットがあります。ここ数十年、グローバルな相互のつながりは世界経済にプラスの影響を与えており、世界の GDP は 2010 年の 89.6 兆ドルから 2021 年には 149 兆ドルに増加すると予想されています。グローバリゼーションは、航空機での海外旅行やインターネットなど、20 世紀の最も重大な技術の進歩とともに進められてきました。
グローバリゼーションの高まりは、今がまさに事業をグローバル化するのに最適なタイミングであることを意味しています。世界中の人材を採用できるようになっただけでなく、ビジネス進出に役立つ情報量も増加したため、事業を拡大しようとしている企業にとってさまざまなチャンスがあります。新しい市場に進出しやすくなるにつれて、自社に有利なニッチな分野も増え、より多くの新規顧客を取り込むこともできるようになっています。
しかし、本当の意味でグローバル展開するにはさまざまな準備が必要です。このプロセスで最も重要な 2 つのステップが、製品のローカリゼーションとインターナショナリゼーションです。ローカリゼーションとインターナショナリゼーションはどちらも、「グローバリゼーション」という項目の下に分類され、両者にはいくつかの違いがあります。この点については、以降のセクションでご説明します。
インターナショナリゼーションとは、製品とサービスの適応性をできる限り高め、さまざまな国の市場に進出しやすくするための企業戦略です。多くの場合は、各分野の専門家のサポートが必要となります。インターナショナリゼーション (Internationalization) は「i18n」と略称されることもあります。この場合、「18」は「i」と「n」に囲まれた文字の数を表しています。
通常、複数の言語を話すユーザー向けの製品であればインターナショナリゼーション プロセスを経ています。たとえば、IKEA では、家具の組み立て説明書に翻訳が必要なテキストを一切使わずに図やイラストだけを使うことによってインターナショナリゼーションを行っています。翻訳が必要な説明書が付属する製品でも、多くの場合は、できる限り文化的に中立になることを意図して書かれています。もちろん、これは言うほど簡単ではありません。
ソフトウェア製品や電子機器の場合、インターナショナリゼーションには多くの懸念事項が関わってきます。
多くの定義や事例によれば、製品のローカリゼーションを行う前にはまずインターナショナリゼーションが必要です。次のセクションでは、インターナショナリゼーションとローカリゼーションの違いについてご説明します。
ローカリゼーションとは、製品を特定の対象市場に適応させるプロセスです。通常は、インターナショナリゼーションの後に行われます。インターナショナリゼーションでは、さまざまな国の多くの対象ユーザーに適応しやすい製品を開発しますが、ローカリゼーションでは、その製品を一つの特定の市場に適したものに変えます。
前述のとおり、マクドナルドは 100 か国以上で 30,000 店舗以上を運営しています。同社の世界展開はグローバリゼーションの一例です。同社は、現地のさまざまな味覚や習慣に適応させたメニューを意識的に作っています。このポリシーは、インターナショナリゼーションの一例です。
イスラエルにあるマクドナルドの店舗の多くは、ユダヤ教の戒律に従った食事とドリンクを提供しており、安息日やユダヤ教の休日には閉店します。さらに、マクドナルドは、牛肉や豚肉を食べない人口が多くを占めるインドでベジタリアン店舗もオープンさせました。どちらのケースでも、マクドナルドは同社のグローバルなブランド アイデンティティを維持しつつ、ローカル市場に合わせて製品とサービスをカスタマイズしています。このケースは、ローカリゼーションの良い例です。
簡単に説明すると、翻訳とはある言語で書かれた文章を他の言語に置き換えることですが、ローカリゼーションとは、まるで最初からそこで作り出されたかのように、製品またはメッセージを特定の文化に適合させるプロセスです。
ほとんどの場合、ローカリゼーションには翻訳が含まれます (それ以外の作業も含まれます)。ローカリゼーションには多くの課題があります。企業が製品の表現や説明に使う言葉以上に、さまざまな文化的要素について考慮する必要があります。
たとえば、Pixar は映画「インサイド ヘッド」を制作したとき、キャラクターが標識を指さして読むシーンで、複数のバージョンに対応できるようにアニメーションを修正しました。映画の英語版ではアニメーションが左から右の方向に動きますが、アラビア語版ではキャラクターの動きは右から左になります。
Apple のバーチャル アシスタントの Siri は、ローカリゼーションに成功した製品の代表例です。ユーザーが Siri に天気予報や特定の住所への道案内を求めると、Siri はユーザーの現在地に応じて、それぞれ摂氏または華氏、キロメートルまたはマイルを使って答えることができます。ユーザーは、Siri の音声で好みのアクセントを選ぶこともできます。英語では米国英語、オーストラリア英語、南アフリカ英語などから選択できます。
開発者は、Web サイトを構築するとき、計画およびデザイン フェーズでこれらの注意事項に対処することにより、しっかりとした Web サイト ローカリゼーション戦略を立てる必要があります。インターナショナリゼーションをうまく行えば、ローカリゼーションをうまく行うことができます。
たとえば、チリ ペソや日本円などの通貨は各単位の桁数が多いため (1 米ドルはおよそ 700 チリ ペソ)、実際には補助単位を使いません。したがって、日本の開発者が日本人の対象ユーザー向けにデザインする eコマース Web サイトでは、単一整数の変数のみを使っていても問題ありません。
しかし、この Web サイトを米国のユーザー向けに展開する場合、開発者は通貨単位と補助単位の両方 (ドルとセントなど) を格納するために別の変数を追加したり、整数の変数を小数に変換したりする必要が生じます。このプロセスには時間がかかるだけでなく、複雑なコード ベースになるためバグも発生しやすくなります。
グローバリゼーションは、企業が事業を他の国や地域に展開するためのプロセスを指します。
インターナショナリゼーションは製品とサービスのデザイン手法であり、海外市場に展開しやすくなるように社内業務を構築する手法です。
ローカリゼーションは、特定の製品またはサービスを特定の市場に適応させることです。
将来的に複数の国々または地域の市場へと製品を展開していくことが予想される場合は、必ずインターナショナリゼーションとローカリゼーションについて考慮する必要があります。プロジェクトの開始前にこれらのプロセスを計画することで、あらゆる地域、文化、言語のユーザーを満足させる製品をデザインしやすくなります。
ライオンブリッジは、世界各地の対象ユーザーに合わせたコンテンツ制作や適応化において、20 年以上にわたってさまざまな企業にサービスを提供してまいりました。製品のインターナショナリゼーションであっても、Web サイトのローカリゼーションであっても、当社の専門家チームが世界中の人々の心を掴む製品とメッセージを生み出すお手伝いをいたします。詳しくは、当社までお問い合わせください。
また、当社の『ローカリゼーション サービスのバイヤー向けガイド』では、最適な翻訳・通訳サービス パートナーを探す方法について詳しく解説していますので、こちらもダウンロードしてご覧ください。